板状の地金を短冊に寸法切りする。鼻先をやすりで斜めにすり、引き手鋲の穴をあけておく。
地金を曲げて三角の輪を作り、金槌で叩いてつけた合わせ目を蝋付けする。硫酸で地金を洗った後、蝋目を金槌で叩き、出っ張った縁をはさみで切る。
地金をなまし丸くしていき、さらに硫酸で地金を洗う。
地金を中型、外型(かえし型)にはめて木槌で叩いてかえしていった後、地金を金床にあて金槌で縁を叩く。


ふくりんに合わせ、はさみで縁を切る。地金をかぶせ型にはめて、木槌で叩いて縁をかぶせる。
ふくりんの縁が小座に添うようにやすりをあてる。底側の縁が底に添うようにやすりをあて、爪を叩き出す。
全体(表面、内側)を、粗やすり、細やすり、ペーパーあて、へら磨きの順に磨き上げて仕上げる。



あらかたの寸法に地金を切る。金槌で叩いて地金のひずみをとっておく。
胴の爪に合わせて、底の爪をやすりで合わす。胴に合わせて外形をけがき針でけがき、はさみで切る。
切断面を粗やすり、細やすりの順にあて、外形を合わす。
※仕上げには、「無地底」、「くさらし底」、「砂あらし底」、「槌目底」、「虫喰い底」などがあります。



原形(デザイン)を薄紙に描く。
薄紙を薄い地金に糊で貼り付け、糸鋸で切り抜き、「キガキ」と呼ばれる種型を作る。あらかたの寸法に切った地金に、キガキをあててけがき針で写す。
糸鋸で地金を切り抜いた後、硫酸で切り抜いた地金を洗う。金槌で叩いて、地金のひずみをとる。
切断面(外形、透かしの中)を、粗やすり、細やすり、ペーパーあて、へら磨きの順に磨き上げる。
表面を炭とぎ(朴炭、駿河炭で地金の表面をこする)し、さらにへら磨きをして仕上げる。


銅の板状の地金を短冊に寸法切りする。鼻先をやすりで斜めにすり、引き手鋲の穴をあけておく。
地金を曲げて三角の輪を作り、金槌で叩いてつけた合わせ目を蝋付けする。硫酸で地金を洗った後、蝋目を金槌で叩き、出っ張った縁をはさみで切る。
地金をなまし丸くしていき、さらに硫酸で地金を洗う。
地金を烏口(小座をかえすための金床)にあて、木槌で叩き半傾斜にする。地金を金床にあて木槌で叩き、平にする。
内径をやすり、金槌を用いて胴に合わす。外径をはさみ、やすりを用いて胴に合わす。
「引き小座」の場合は、引きやすりを用い、引き小座(ギザギザ)にする。「無地小座」の場合は、表面、切断面(外径)を粗やすり、細やすり、ペーパーあて、へら磨きの順に磨き上げて仕上げる。

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襖引手の素材には大きく分けて、金属製のものと金属以外の商品があります。金属製の素材には、金、銀、銅、銅合金(銅合金とは主に銅と亜鉛の合金である「真鍮」のことですが、その他にも現在では入手困難な、銅と金の合金である「赤銅」、銅と銀の合金である「四分一」などがあります)、鉄、ブリキ、ステンレス、アルミ、アンチモニ、亜鉛合金などです。金属以外の素材では、プラスチック、木、陶器などがあります。普及品では鉄や金属以外の素材のものも多く使われていますが、当社では高級襖引手には欠かせない銀や銅、銅合金を主に使用しています。


真鍮は銅と亜鉛からつくられます。一般的な真鍮は銅と亜鉛の比率は6:4の割合で作られますが、7:3の割合のものを七三黄銅と呼びます。ほんものの「宣徳(からし色)」は、七三黄銅を使わないと出せないのです。
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名 称 色 味 色付け
漆 黒 燻べ(くすべ)
焦茶色 漆塗り
漆あずき色 漆塗り黒
オレンジ色 たき出し
からし色 たき出し
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くすべは高級襖引き手の代表的な色仕上げで、しっとりとした漆黒色に仕上がります。この見事に深みのある黒色は、他の色付け方法では決して表現できません。

檜または杉の鉋屑の端に火をつけ、円筒に押し込む。
炎が勢いよく燃え上がった中に、よく磨いた地金をかざす。この作業を何度も繰り返し、煙の中の煤と脂を丹念に付着させる。途中、布で拭きながらムラをなくし、漆黒になるまでこの作業を何度も繰り返す。
くすべた表面に生漆を塗り、焼いて乾かす。イボタ蝋を含ませた布で拭いて、艶を出して仕上げる。



漆塗りで色付けしたうるみや五郎三は、塗装では決して表せない独特の深みのある色合いに仕上がります。
※五郎三という名称は、昔の職人の名前に由来したものです。
うるみ(焦茶色)の場合は、漆に松煙とベンガラを加えて練り合わせ、五郎三(あずき色)の場合は、漆にベンガラだけを加えて練り合わせる。
薬液で下色を付けておいた地金に綿で漆を塗り込み、火にかけて乾かし、再度、漆を塗り込む。この作業を何度も繰り返し、時間をかけて弱火で焼き付ける。
イボタ蝋を含ませた布で拭いて、艶を出して仕上げる。



素銅は銅、宣徳は真鍮の酸化皮膜(錆)を利用する色付けの技法です。地金や薬剤の調合により、微妙で多彩な表情を持ち、たき出しならではの深みのある色合いに仕上がります。
※宣徳という名称は明の宣徳年間に制作された青銅器の着色法に由来しています。
銅製の鍋に、緑青、丹礬、酢、明礬などの薬剤を入れた液を入れ、火にかける。
よく磨いて脂分をとった銅地金(素銅の場合)、または七三黄銅地金(宣徳の場合)を細い銅線にくくりつける。太い針金(棒)にを吊り下げ、の溶液の中に入れる。地金が変色していくのを確認しながら、じっくりと煮込む。きれいに発色したら、引き上げて水洗いをする。
イボタ蝋や、透漆で艶を出して仕上げる。

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